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【はじめに】
現代人は誰でも、「病気にはなりたくない」と思いながらも、じつは「人間なのだから病気になるのは当たり前だ」と思っているのではないだろうか?
もしあなたが「この一〇年来、風邪薬すら飲んだことはない」と誰かにいったとすると、「丈夫だね」とか「珍しい方ね」といわれるだろう。それほど、病気にかかることはいまや自然なことと考えられているのだ。
しかし私にいわせると、その方がよほど問題だ。だいたい病気にはかからないのが当たり前で、かかる方が不自然なのである。

どんな仕事でも長く続けていると、体にその仕事特有のクセが表れるようになる。極端な例をあげれば、職業病などもひとつのクセと考えられる。
職業病とまではいかなくても、それに近いものはたくさんある。たとえば、一日中座ったまま仕事をすることが多い人や、タクシーの運転手などは、足腰の不調を訴えたりするものだ。
ところが、人一倍体を酷使して働いていながら、そういう不調がない人もいる。
それは、その人が自然に沿った体の使い方をしているからである。

たとえば、肩の力を上手に抜く姿勢をとっている。あの人は腰が座っているとか、腰が決まっているとかいうが、腰の決めは肩に関係がある。肩の力をすっかり抜かないと、腰は決まらない。腰が決まらないと、どうしても体は不自然になり、無理が生まれる。無理をするから、変なクセがつくというわけである。

ところがつねに健康で不調を抱えていない人というのは、いつも腰が決まっている。まさに、肩の力をうまく抜いているということだ。
これは、体についてだけではない。人間は心にもクセ(傾向)がつきがちなものである。いいクセなら問題はないのだが、そうした心の傾向はえてして悪い影響を呼ぶ。それが人間関係にもハッキリ表れ、運を悪くしてしまう。

私が日頃から指導している導引術というのは、長い長い歴史を持つ中国の健康法である。この導引術には、人間の体と心の状態を見抜く「観相」という教えがある。この本で紹介するのは、まさにこの「観相」である。
また、悪いクセから自分の心や体の問題点を知リ、どうすればそれを治せるかについてもくわしく説明した。
不調を抱えて悩んでいる人はもちろん、現在はっきり不調が表れていない人も、自分の弱点を知り、この本で紹介した方法を熱心にやって、生きていることの喜びをもっともっと知ってほしい。自分で体をちょっと動かしさえすればすむことだから、誰にでも簡単にできる。きっと「健康というものはこんなにも素晴らしいものだったのか」ということが実感としてわかるはずだ。
この本がきっかけとなり、気力体力ともに充実した生活を送っていただければ、著者としてこれはどの喜びはない。

早島正雄

(自己治癒力を高める 気の生命活性術 まえがきより抜粋)